近頃ニュースで「周産期医療センター」や「NICU(新生児集中治療室)」「MFICU(母体・胎児集中治療室)」などの言葉をよく耳にするようになりました。妊娠中のお母さんやお腹の中の赤ちゃん、生まれたばかりの赤ちゃんを対象とする日本の周産期医療の進歩はめざましく、現在では在胎22週や23週の赤ちゃんや、体重500gの超低出生体重児も生育可能とされています。
しかし、生まれたばかりの我が子が集中治療室で治療を受けている様子に接した母親が、自分自身を責めたり、抑うつ的になるなどして赤ちゃんとの関係をつむぐことが難しく、治療を終了して自宅にもどってからも漠然とした不安を抱えたままで子育てを行っている場合もあることがわかってきました。
周産期とは、母親にとっても赤ちゃんにとっても身体的・心理的に変動の大きな時期です(周産期は、厳密には妊娠満22週から出生後満7日未満の期間を指しますが、ここではもう少し広い概念としてとらえていきます)。母子の出会いはその後の母子関係に影響し、母子関係は対人関係の礎になります。こういったことから、お母さんと赤ちゃんが出会う周産期における心理社会的援助の重要性が次第に認識されるようになってきました。現在ではNICUやMFICUなどの周産期医療現場で、母子の関係性の支援のために、医師や看護師らの医療スタッフとともに臨床心理士も活動を行うようになっています。
さて、今回の「研究だより」では、最近行ったMFICU入院妊婦の心理状態に関する研究結果と現在行っている新たな取り組みを説明したいと思います。最後に少し、最近行ったモロッコ王国の調査を紹介し、改めて感じたことについて述べたいと思います。 |